Tuesday, April 12, 2016

「パレート分析を行い、上位3項目をターゲットに選びました。」と言いながら、恣意的な結論を導いていないか

パレート分析とは、定量的に優先順位を決定する場合に使われる手法の一つで、複数の項目を頻度に基づいて大きい方から並べた棒グラフを作成し、それに累積頻度曲線を加えたものです。パレートグラフをみれば、どの項目の頻度が最も多いのか、トップ3項目で全体のどれぐらいのパーセントの頻度を占めているのか、といったことが、ひと目で分かるため大変便利な分析手法です。

しかし、パレート分析は本当に正しいターゲット選定手段なのでしょうか。

まず、定量的手法の常として、そもそもその測定方法で良いのか、というのことがあります。例えば、ある小売店が売上に基づいてパレート分析を行ったとしましょう。そして売上の多い商品の販促をして、効率良く売上を増やそうとしたとします。しかし、この分析は初めから破たんしています。なぜなら、小売店の目的は売上そのものではなく、利益だからです。仮に売上上位であったとしても、仕入れ値が売値より高い商品を大量に販売したところで、赤字が積み重なるだけです。この場合であれば、売上ではなく利益でパレート分析を行うのが一つの解決策になるでしょう。

パレート分析の横軸をどうするのか、はもう一つの大きな課題です。一時、ロングテールという考え方が大きくとり挙げられたものですが、何が新しかったのかというと、パレート分析では項目の分け方次第で本当の売れ筋を見落としてしまうという点を明らかにしたことです。
小売店の例で清涼飲料水のパレート分析を行うとしましょう。エビアン、ボルビック、六甲のおいしい水、緑茶、ウーロン茶、果汁飲料とコーラを分析した結果、緑茶が収益の20%を占めてトップだったとしましょう。ここで、緑茶に注力すべきなのかというと必ずしもそうはならないわけです。仮にミネラルウォーターとしてくくることのできるエビアン、ボルビック、六甲のおいしい水が収益の50%を占めているならば、緑茶というカテゴリとミネラルウォーターというカテゴリを比べるとミネラルウォーターに注力すべき、ということになります。
カテゴリとして重要性がある場合でも、商品の種類が多い場合はパレート分析では重要性が見えにくくなってしまうわけです(すなわち、ここではミネラルウォーターがロングテールだった)。そのため、どのように商品をカテゴリー分けするのか、どの粒度でパレート分析を行うかで、分析の結果が大きく変わってしまいます。

さらに、適切な測定を適切な粒度で行ったところで、単純なパレート分析は改善のポテンシャルを評価しているわけではありません。例えば、現在の収益が大きな商品があったとして、伸びしろがどれほどあるか、といった情報は収益で評価したパレート分析には含まれないわけです。したがって、より適切な分析としては潜在顧客数による分析や潜在的な収益力による分析も組み合わせて、現在の売れ筋と今後の売れ筋について全体感を把握し、適切な施策を取ることが重要なのです。

パレート分析の困難さを示す別の例を挙げます。コスト削減プロジェクトがあったとして、大きな費用項目から取り組めば成果が大きいと考えたとします。しかしながら、費用が大きいからといって削減が簡単とはかぎりません。例えば、先月大きな予算カットをお願いした大きな外注先に、全社のプロジェクトなので…といって重ねて予算カットをお願いすることは難しいでしょう。むしろ、細々と続いている複数の取引をどこかにまとめてしまう方が簡単かもしれません。あるいは、小さな取引先に見えても実は親会社が一緒なのであれば別々の項目とするのではなく、親会社としてまとめて評価し、一括で契約するような考えもあるかもしれません。

分かりやすく明快な答えを示すように思われるパレート分析ですが、実際にはそれほど単純ではありません。適切な分析を行い、さらに正しい答えを導き出すには、分析の目的と良く考える必要があります。

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